どれみふぁ/○○/からの詩

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zoom RSS 虫食い日記C

<<   作成日時 : 2014/03/09 17:12   >>

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落丁だらけの記憶の中で、

思春期の日々が、ひらりと舞うことがある。




高校に入学したばかりの席。

わたしの後ろに、閏年の日に亡くなった 「ともこ」 がいた。


よく笑い転げるやつだったが、

何カ月かして、分厚い手紙をくれた。



「雨の降る日に・・・・・」

封筒の裏にそう書かれていた。


中学生の女の子が担任の先生に想いを寄せる

かなりせつない日記形式の手紙だった。


先生も苦しんでいる・・・・


同じ16歳なのに、級友がずいぶん大人に見えたものだ。



彼女は、文芸部に入って詩や小説を書いていた。

時々、ジュニア小説などに投稿していたようで、

ある日、栞をはさんだ冊子を手渡された。


ページをひらくと、投稿作品として彼女の名前があった。


タイトルが 「前の席の彼女」・・・・・ぅん?

二時間目が終わるや否や売店に走り、

両手にパンを抱えて帰ってくる級友の事が書いてある。


当時のワタシ、なかなかのアスリートでして、

最初の全校生徒の体力測定で俄然、注目を浴びてしまった。

50メートル走と走り幅跳びなどで上位に名をつらねた。

陸上部から、再三、声がかかったほどだ。



測定中、ともこが叫んだ。

「マネジャーになるから、わたしをオリンピックに連れて行って・・・・」

ま、そんな夢は、

<隠れ脂肪の塊>によって見事に打ち砕かれてしまうのだが。



というわけで、

彼女が描く 「前の席の彼女」 はムチャクチャ食べまくるのである。

サザエさんに出てくる、ハナザワさんをもっと逞しくした感じ。

読みながら、

(これはないでしょ)・・・・・・。


でも、笑っていた。

面白いのだ。



            :

彼女の机の中には、まだ一個のパンが残っている。

半分ぐらいはわたしにも____。

しかし、最後のひと口まで、迷うことなく彼女の胃袋に消えていった。

            :


そんな締め繰りだったと思う。

「流行作家になって、わたしを秘書にして!」



その頃、彼女はもうひとつ作品を残している。

別の高校生向け冊子で、やはり投稿作品だったと思う。



「山への会話」

友人の死を知った少女が山に登る話だった。

頂上で、ひとりの青年とたわいない対話をかわし、

少しだけ、違う自分になって下山して行く。



詳しいことは覚えていないのだが、

今でも忘れられない描写がある。



山への石段は、登山者に踏まれ続けて真ん中だけがへこんでいた。

少女は、そこを避けるように端っこを選んで登っていく。


帰り道。

少女は、なんのためらいもなく石段の真ん中を下りて行った。



その頃、高校のサークル文芸誌に、ともこは詩を載せていた。

「Kの詩」

新聞でKの自殺を知った朝のことが<詩>になっていた。





放浪の俳人で、よく山頭火と比較される尾崎放哉がいる。

二十歳のころ、放哉を彼女から教わった。

一冊だけの全集を持っていて、ときどき拾い読みをしている。




奄美で人知れず息をひきとった 

孤高の画家・田中一村。


この人の存在も彼女によって知った。


田中一村の死後、三年を経てから、NHKの日曜美術館で取り上げられた。

それを見て以来、彼女は機会を待っていた。

そして、勤めていたデパートで「田中一村展」を開催させた。


名前さえ知らない人が多く、おまけに地方のデパートのこと。

上司は平山郁夫の名を挙げて、猛反対した。


が、彼女は頑張る。

大盛況だったそうだ。



ふしぎなほど、

彼女が興味をしめすと、遅れて世間が話題にすることが多い。



娘の花ちゃんが

「おかあさんが興味を持ってたこと、あと何があったっけ?」

真顔で時代の先取りを企んでいた。



桜が大好きな人だった・・・・


わたし、今年は、どんな桜を描くんだろう。












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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時

んぅぅ
ちょっと むね あつくなった

亡くなった 悲しみは わからないけど・・・・

生きてる 想いが せつなくて いい

ともこさんも ともこさんだけの わすれられない 景色を持っていて
持って逝っちゃった のか

だれにもわからないけど 美しい景色と ともに




 
ナナツノコ
2014/03/09 19:35
この日記自体が掌編小説みたいに迫ってきました。
文学少女だったともこさん。
時代を先取りするともこさん。
素敵な人ですね。
七海さんの中にともこさん、生きてる。
峰猫
URL
2014/03/09 23:01
ナナツノコさん

何故かしら? あの世からコメントが届いた感じ。
でも、妙に懐かしく、すう〜〜っと胸に落ちました。

そうですね。
ともこだけの景色を同じ条件で見ることが叶わず、
わたしは永遠に追いかけるのでしょうね。

吐息・・・叶うに「−」を加えるんだ。

雪が舞って、晴れだして
ふたたび、空が鈍色になりました。

七海
2014/03/10 15:26
峰猫さん

ありがとう!

ともこが逝ってから10年が経ちます。
手術後の彼女に、四月生まれでしたので、
薔薇を一本ずつ増やしながら贈ってました。
葬儀の日、娘の花ちゃんが目を腫らしながら言いました。
「今年の誕生日も薔薇をください!」
いつのまにか、途切れてしまったことを悔やんでいます。

今年もふたたび薔薇を届けよっと・・・。

七海
2014/03/10 15:38
虫食い日記、今まで歩んでこられて人生を、虫になって葉っぱを食べている、そんなことを思ったりしました。葉っぱを食べつくすまで、まだまだこれから随分続くのだろうと思います。恐らく葉っぱが食いつぶされたら別の葉っぱがいっぱいあるのでしょうね。虫食い日記が続きますよう、楽しみにしています。

ともこさんにバラを贈り続けてきた、この話も、たまたま昨日名古屋栄で通りかかった花屋さんの光景とダブりました。花を贈る、人生が詰まっているのですね。それも上質な人生が。
茜雲
2014/03/11 08:32
茜雲さん

そうなんです。
何気ない街スナップ「花のプレゼント」を見て、
薔薇の事がダブったのです。
何がしかのご縁を感じました。

<はらぺこあおむし>という絵本があります。
葉っぱの絵にあながあいていて、
思わず指を突っ込んで虫になりたくなります。

むしゃむしゃ食べて、光がいっぱい広がるといいですよね。
いつも、あったかい応援をありがとうございます。
七海
2014/03/11 18:33
はじめまして。房州やさんからのコメントで、七海さんのアドバイスを
知らせていただきました。
F5を押してみたら画面が回復しました。
ありがとうございます!助かりました。
ひろみママ
2014/03/13 10:08
ひろみママさん

真っ青な画面から解放されてよかったですね。
違う世界へ紛れ込んだようでドキドキされませんでしたか?
ご丁寧にお越しいただき、ありがとうございました。
七海
2014/03/13 16:37
「山への会話」
>少しだけ、違う自分になって下山して行く。

ここを2度読み返して、1度めは「ほお」と、
2度目は「はあ」と呟いてしまいました。
軽々しく言ってはいけないですが、
16歳当時の作品を通じて、七海さんの中で
ともこさんは生き続けているように感じました。
だって、思い出にしては
生き生きと見えますもの。
とうい
2014/03/23 00:40
とういさん

同じ箇所で立ちどまってくださってありがとう。
「ほお」・・・「はあ」が伝わってきて、
キャッチボールをしている気分でした。

わたしはよく、日常の中でともこと語ってます。
むしろ、生前よりも近くなったのかもしれません。
七海
2014/03/23 10:49

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