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zoom RSS それぞれの氷点

<<   作成日時 : 2014/05/25 07:30   >>

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「続・氷点を読みましたか?」

なにかと話が弾むムツコさんが聞く。

新聞の連載小説が話題となり、

三浦綾子の<氷点>がはじまりだったという話から。

まだ小学生だった。



今でも、連載小説を読むのが好きだ。

三紙を購読していた時など、毎日、六作品を読むときもあった。


単行本を読むのと違って、セリフが妙に生きている気がする。

今、朝日新聞で夏目漱石の<こころ>を連載しているが、

これも毎日、新鮮な感覚で読んでいる。




「氷点を読んで、誰がいちばん罪深いと思う?」

ムツコさんが続ける。

「神の眼からは見れば、誰も恨むことなく健気すぎた陽子なの」

ストーリー性に優れた作品だったが、

三浦綾子が本当に書きたかった内容は続編にこそあるそうだ。



話を聞きながら、ふいにY子さんのことが頭にうかんだ。

転勤先の土地で、一年余りの付き合いだったが、

今でも深く印象に残っている。

優しい夫と優秀なお子さんに恵まれ、

本人も文学的才能に恵まれた<しあわせ>を絵に描いたような人だった。



何気ないひと言が、記憶にある。

「春はあけぼのを知る前は、わたしの一冊は<氷点>だったの」


そのときは、「ふぅ〜ん」だった。

清少納言に心酔していることを確認しただけ。

というより、読みの浅いわたしには、

<氷点>が選ばれたことが意外だった。



とはいえ、彼女には不思議な一面もあった。

通りがかりのお墓を見つけては、

「花があがってるわ〜」と目を細める。

友人のお宅にお邪魔すると必ず仏壇に手を合わす。

まぶたが赤くなっていたことも何度か。

先人の死に、こころを砕くひとだった。



引っ越してから後、彼女とは一度も逢っていない。

五、六年もしたころだろうか、別の友人が電話をくれた。


「Y子さんから年賀状が来た?」

何か変だ。

「あなたには、知らせてあげなきゃと思って」

歯切れが悪い。



沈黙のあと、ぼそっと。

「息子さん、飛び降り自殺しちゃって・・・・」



言葉がなかった。





かなりの月日を味方にしてから、

ようやく電話をかけた。


うすうす状況を察知する彼女に、

「声を聞きたかったの」とだけ言った。






ムツコさんはクリスチャンだ。

聖書が、氷点を深く読ませた。


が、Y子さんはちがう。

最初から、氷点の真意をつかんでいた。

背負うものの重さを知ってて、

神は、あらかじめ彼女の器を用意していた。




ときたま、彼女の声を聞きたいなと思う。

思うだけで、救われる自分がいる。




ただ、ブログに記す段になって迷いが生じた。

Y子さんに影を落とさなければよいのだが。


「何年経っても、泣かん日はないよ」

電話の声が耳に宿っている。


のぞき込むことすら許されない深い井戸だと思う。




書きたかったのは、

あなたと出合えてよかったこと。

出合ったころ小学生だった末娘のMちゃんが、

大学生になってわが家に遊びに来てくれたときも、

どれだけ嬉しかったことか・・・・。



もしも、あなたの目に触れて、

哀しませるようなことがあれば許してくださいね。



















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